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公開日:2025年2月17日

ARCHは2024年9月20日/21日の深夜、「私のまちで東京ストリートカウント2024秋-おなじ月の下を歩く-」を実施しました。本企画は多くの市民が同じ夜に、それぞれの暮らすまち、地元駅 や公園を歩いて実施する、市民参加型の夜間路上実態調査です。市民一人ひとりが「私のまち」にいるホームレスの人や行き場のない人に出会い、その記録 や感じた想いをオンラインにより参加者間で共有します。見守りのまなざしで深夜の自分のまちを見ること、そして他の多くの参加者と共に都市全体を見守ることを目的としています。今回初めての秋開催となりました。酷暑を乗り切り、過ごしやすい季節となり始めた中秋の 名月の頃行った今回の調査の実施概要、調査結果、参加者の感想についてご報告します。   

(参考:私のまちストリートカウントとは

 

目次

開催概要

当日の流れ

主な調査結果

 ・まちごとの結果

 ・全体としての結果

参加者の感想

 ・新たな質問の分析 ~経験の共有~

今後に向けて

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◆開催概要

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1日目はまだ夏の暑さが残りじんわりと汗ばむ夜、2日目は広い範囲で雨雲に覆われ冷たい雨に降られる夜となりました。一日目27名、二日目26名、他日17名、合計70名の参加者がそれぞれの「私のまち」を見守りました。他にも、参加者と共に9名の同伴者(参加登録なし)が歩いてくれました。

 

参加者みなで見守った「私のまち」は合計で46となりました。安定しない気候の中で心配な状態にある人がいないことを祈りながら、「野宿している人」「今晩行き場がなくここにいると 思われる人」「それ以外で心配な状態にある人」との出会いを記録しました。

 

当日の流れ

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当日は22:30からzoomで出発式を行い、他の参加者と共に注意事項を共有し、その日の夜一緒に 歩く仲間の様子を確認しました。23:00以降に各自で調査を開始し、参加者はそれぞれの「私の まち」を1~2時間程度歩き、出会った人や置かれている荷物の記録を行いました。 帰宅後、見守った記録(歩いたルート、出会った人・記録したモノ、感想)を本部へ送信し、 他の参加者とお互いの感想をオンラインで共有しました。

主な調査結果

◆まちごとの結果 -それぞれの「私のまち」と、そこでの出会い

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参加者延べ70名で見守った「私のまち」は46ありました。見守った46の「私のまち」のうち半数近い22のまちで何らかの心配な状態にある人との出会いがありました。出会いのあった「私のまち」の割合を過去2回の開催と比較すると、2022年夏開催では約7割、前回開催と今回は半数弱と、減少傾向にあります。 

◆全体としての結果

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※図をクリックすると拡大表示されます

上図のマップ上では参加者の歩いたルートをラインで、出会いのあった場所を点で示しています。

​「私のまちで東京ストリートカウント2024秋」では合計で83名の心配な状態にある人との出会いがありました。その中で、「野宿している人」が44名、スーツケース等大きな荷物をもっ てベンチに座っていたり、駅の階段に座り込んでいたりする「確かではないが今晩行き場がなくここにいると思われる人」が29名確認されました。合計で73名の人々が、少なくともその晩は屋外での不安な居住状態にあることが確認されました。その他にも、夜中の歩道を一人で歩かれている高齢の方など、参加者が歩いている中で気になった「それ以外に心配な状態にある人」が10名確認されました。この状態の人は全体の12% と前回の冬開催(8%)と比較して、若干多い結果になりました。秋の開催は比較的過ごしやすい気温であった為、屋外で夜を過ごす選択をする方が多かったと考えられます。

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◆参加者の感想 -「私のまち」を深夜歩き、見守り、感じたこと

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今回は、参加案内の文章内に“ 昼に子供たちの遊んでいる公園に、夜ひっそりと寝ている人がいるかもしれません” という文章を入れたことを反映してか「寝場所と夜のまちのギャッ プ」や、「昼と夜とで表情を変えるまち」、「昼と夜のまちをつなげて考える」に関する感想が多くみられました。参加された皆さんが昼と夜のまちの様子の違いに気づきを得たことがわかります。こうした気づきが、夜のまちの見守りへの第一歩となることを期待しています。また、今年の1月に行った前回の「私のまちストカン」に参加された方も多かったため、季節の変化や時間の経過を通じての「野宿者の増減への不安」や「野宿者が追い出されていないことへの安堵」に関連する感想も見られました。今までの「私のまちストカン」に引き続き、まちの中にある排除デザインへの気づきや気温などを通して「野宿者の居場所への関 心」がみられた感想や、まちが寝静まっているときに歩くことで得られる「新たなまちの発見」についての感想も見られました。

◆新たな質問の分析 ~経験の共有~

参加者のみなさんに、「私のまちの深夜を歩いて気がついたまちの様子や、出会った心配な状態にある人について誰かに伝えたり、相談したいと思いましたか?」という質問を行い、48 名の方から回答をいただきました【下図】。

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◆今後に向けて

ARCHは2021年から、屋外での滞在が厳しい夏と冬に「私のまちで東京ストリートカウント」を計3回実施してきました。こうした夜間路上実態調査が実施されることで、はじめて主要駅周辺や繁華街以外の住宅地などにも不安定な居住状態の人々がいる、という問題を提示することが出来ます。

今回は初めての秋開催となりました。比較的屋外で過ごすことが容易な秋は、不安定な居住状態である方以外との出会いも多かったのではないでしょうか。また中秋の名月の頃、時に空を見上げ、おなじ月の下を歩いている仲間がいることを強く感じながら「私のまち」を共に見守ることが出来たように思います。調査結果としては、これまでと比べると、出会いのあった 「私のまち」の割合は減少傾向にありました。それでも、参加者が見守ったまちの半数弱のま ちで居住が不安定な方と出会っていることが確認されました。

また、比較的屋外で過ごすことが容易な季節だったこともあり、不安定な居住状態である方以外との出会いも若干多い結果となりました。今回は参加してくださった方々に対して、「私のまちの深夜状態を歩いて気がついたまちの様子や、出会った心配な状態にある人について誰かに伝えたり、相談したいと思いましたか?」という自身の経験を共有することへの考えを聞きました。回答からは、家族や友人と いった既存の信頼出来るコミュニティに対して共有したいという思いがある一方で、個人情報や生活に密接に関係する重要なことだからこそ、簡単には仲間を見つける行動に移すことが出来ないといった課題もあるように感じました。そういった方々が仲間を見つけたいと思った時に、一緒にまちを見守る入口を見つける、その架け橋(ARCH)となれるような取り組みを行いたいと思っています。

今回の参加者層をみると新規参加者が3割弱と、活動の広がりには課題があると言えます。新規の参加者を募るために、彼らの気持ちに訴えかけることが出来る時代に即した本企画の意義を考えたいと思っています。同時に、継続して本企画に参加してくださっている方々と私たちARCHが共に、次に何が出来るのかについても考えていきます。

「私のまちで東京ストリートカウント 2024秋--おなじ月の 下を歩く-」

活動報告書はこちらから

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